リンパ浮腫治療法の実際 (なぜ専門のマッサージが必要か)
リンパ浮腫の治療は浮腫の状態の解除、より良い状態の維持を目指すので
すが完璧な治療法はまだ確立していないといわれています。
過去にはトンプソン手術等、浮腫の部分を取り除く手術がおこなわれたこ
ともありました。物理的に組織を取り除くのですが、リンパ液の通路が確保
されないので、浮腫の再発を来たし、この手術による後遺症でより重症化す
るケースが発生しているといわれます。
現在では、毀損しているリンパ管の、静脈管や他のリンパ管との置換手術
又は静脈管との吻合手術、腹膜の移植手術、より活性化したリンパ球投与、
利尿剤や蛋白融解剤等の投与等々施術例が報告され研究されています。
しかし、これらはいずれも副作用、効果持続性等から未だ標準治療として確
立したものではなく適応する患者さんは限られると言います。
より安全に、患者さん自身の自然治癒力を利用した治療法として徒手リン
パドレナージ(徒手によるリンパ液の排液)があります。遮断したリンパ管路
を迂回して側副路(バイパス)を通り、元気なリンパ管まで運び静脈に戻す
のです。物理的に運搬しますので、目に見える効果がみられます。運ばれた
ものは原則、尿になります
具体的には、非常にソフトなタッチでのかつゆっくりとしたマッサージを
行います。もちろん、このような医療行為としてのマッサージはマッサージ
師以外のものが業として行うことはできません。またリンパ浮腫の治療には
とてもデリケートなケアが求められますし、患者さんの手術歴、症状等によ
り各人各人治療方法、使用する手技、力度等工夫と変化が求められます。健
康な人に行うマッサージとは施術方法、テクニック、目的、力度等すべてに
おいて異なります。やはり、リンパ浮腫専門のマッサージ師による治療が望
まれます。
よりリンパドレナージの効果を上げ持続するために、できる範囲以内で併
せて行っていただくいくつかの方法があります。
1、スキンケア
2、セラピストによる徒手リンパドレナージ
3、圧迫療法(初期は包帯によるバンデージ、細くなったらスリーブやストッキング)
4、運動療法
また、急性皮膚炎、蜂窩織炎、静脈炎等急性静脈疾患、心不全、心性浮腫、
生傷、水虫、帯状発疹、風邪等の発熱、腫瘍等々、他の疾患のある方はリンパ
浮腫の治療前に医療機関による治療を受けていただく必要があります。リンパ
浮腫の治療開始後であっても、リンパ浮腫の治療は中断して、それらの疾患の
治療を優先してください。